「堕天使とボノボ」振り返り②
プロジェクト「Act」Tokyo 第三回公演「堕天使とボノボ」から早一ヶ月が経ちました。
今回は、各キャストに焦点を当て、ゲネプロの写真と共に振り返りたいと思います。
今回は、各キャストに焦点を当て、ゲネプロの写真と共に振り返りたいと思います。
佐々木三恵さん
いきなりすごい人が来たなと思いました。8月、この公演のキャスト募集で最初に応募してくれたのは、佐々木さんでした。
24歳とは思えない物腰を持つ彼女は、晴夏の静的な面、思考する晴夏や日常的部分、日ごろ、妻や母、あるいは社会人として生きる晴夏、三谷晴夏という人間の基盤とも言える部分をとても強く出せていたと思います。
怜悧で、賢く機能的。会社に最も重宝される人間像。本作で求めたかったそういう部分を彼女から垣間見ることができました。
対して、晴夏の動の部分。普段秘めている非日常的な面を出すことに苦労していました。
静と動を活かせば活かすほど魅力が増す役だった分、この部分は伸びしろだと思います。
そしてこれは、後に登場する赤組の晴夏役である青木みなみさんとの最も対照的な部分でした。
中性的な魅力あるルックスを持っているだけに、今後の成長がとても楽しみな女優さんです。
服部愛香さん
彼女の存在は、白組では作品の華であると同時に密かに物語の方向を操る裏の中心人物のような役割となりました。
弾けるような笑顔といいい、感受性や表現力といい、光るものがある彼女ですがまだまだ、乗り越える壁はたくさんでしょう。
「服部愛香」今後の活躍に期待です。
青木みなみさん
その彼女はやはり、晴夏の動の部分。
物語を動かすストーリーテラー性、晴夏の秘めた本性は強烈でした。そして赤組の中であって作品の支柱、あるいは母とでもいうような印象を持たせてくれました。
その分やはり晴夏の静の部分に動が被さってしまっていました。
しかしそこは、まだ22歳の彼女。できなくて当然、できない方がいい。芝居の最中も変わらず溢れるパッションを感じてそう思いました。
川原夢貴さん
役者が芝居で命を削る、そのしぶきが光を浴びて燦然と輝く瞬間というものを彼女は何度も見せてくれました。
筆者の反省は、この才能を生かせる演出をすることができなかったことです。
しかし、まだまだ課題はたくさんあります。その課題を克服してどんどんと次のステージに進んでくれることを願っています。
黒澤一郎さん
第一回公演「悪魔の涙」の勇太役以来のアクト参加でした。
彼自身、初の主演ということでかなり苦労もあったと思います。
写真もそうですが、日に日に窶れていくようで心配になりましたが、その分だけ三谷良介という人間に近づく事ができたのではないでしょうか。
この公演を通して彼なりに掴んだものもあるでしょう。
元もと感情の振れ幅が広いだけに、精神面での成長一つで大きく飛躍する可能性を秘めています。
姜旻知さん
まず佐藤は、彼女の素性が良く出ていたと思います。
重いシーンが多い本作品の中にあって、佐藤として出ている時は舞台上がとても明るくなりました。
対して紗希ですが、姜さん自身が持つ心の負の部分がよく出ていたと思います。
しかし、根本的な技術的な問題で今回紗希役を演じ切ることができませんでした。おそらく本人が一番分かっているはずです。
この点は姜さんであれば今後必ず克服できるでしょう。
佐藤健太さん
個性的なルックスの佐藤さんは、物事に対する視点も個性的でした。
演じて頂いた役は、晴夏や京子が働くカフェの店長。役柄としては、劇中で一切救われない悪役的な立ち位置でした。
脇役的な立場ではありましたが、稽古中は周囲をよく観察し、劇中での自分の役割を考え、ディスカッションを多くしてくれました。
彼のそういった行動が他の経験の浅い役者たちに今後良い影響を与えてくれると信じています。
沖田晃宗さん
今回、追加オーディションで一番最後の参加になった沖田さん。
ユーチューバーの友城役を好演してくれました。
劇中には出てきませんが、茂木友城は高校時代に女性から自分の自尊心を傷つけられた過去があります。
その経験が医大生時代に女性への蔑視へと変わっていき、ユーチューバーとして活動の中で男性からみた「女性=悪」という認識が徐々に変わり、最終的には人間の本質を知る為に異世界に飛び出す。
友城視点だけで一つ作品が作れるほどのスケールでしたが、沖田さんは少ない稽古時間と少ない出演時間の中でそれなりに上手く演じていたと思います。
今回、そしてこれからの経験を内面的成長に変えていくことが彼の飛躍の鍵になるのではないかと考えています。
桜龍さん
前回に引き続いての出演でした。今回も前回と同じく劇中で二役を演じて頂きました。
忙しい中にあっても常に作品に求められているキャラクターやシーン作りを徹底し、それでだけなく、他のキャストにも目を配る座長的な役割を担って頂きました。
演技に対する情熱、作品やシーンに対する解釈、解釈に向けた努力、どれを取っても役者の鏡のようで、若いキャスト達に与えたよい影響は計り知れません。
そのなかでひとつあえて言わせて頂くとすれば、過去の経験から頭の中で固まってしまっている、わずかながらも重要な部分の本質を内証することができた時にあるいは新しい世界が開けるのではないかと思います。
大関愛
今回含め過去三作品全てに出演してくれていますが、今回はまず孤独との戦いだったのではないかと思います。
今回は、白組で佐藤役、赤組で紗希役を演じました。
演技に対する情熱、作品やシーンに対する解釈、解釈に向けた努力、どれを取っても役者の鏡のようで、若いキャスト達に与えたよい影響は計り知れません。
そのなかでひとつあえて言わせて頂くとすれば、過去の経験から頭の中で固まってしまっている、わずかながらも重要な部分の本質を内証することができた時にあるいは新しい世界が開けるのではないかと思います。
大関愛
今回含め過去三作品全てに出演してくれていますが、今回はまず孤独との戦いだったのではないかと思います。
今回は、白組で佐藤役、赤組で紗希役を演じました。
また役作りの中で、水商売や援助交際をして子供を育てている紗希という人間を演じる上で、紗希という人間に近づく努力、稽古場の外での努力を誰よりもしていたのではないでしょうか。
今回、ダブルキャストということでどうしても比較になりますが、元々の魅力を生かす姜さんと、技術と努力で役にアプローチする大関だったと思います。
大関愛は、技術はもちろん、一人間として成長するほどに魅力が増していくと信じています。
大関愛は脚本をする上での様々な助言、過去、性被害に遭った経験を持つ中野さんとの取材の仲介、フライヤー、ガイドブック、HPの製作、音楽編集などを担当してくれ、この作品の大きな立役者となってくれました。筆者個人としては感謝以外にありません。
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