演出助手による俳優紹介・後編

夏七美 (かなみ) 【(回想)幸江 役】

今公演の座組に一番乗りで決まった方。

声が特徴的で、立ち姿も美しく、面談や顔合わせの時のことをよく覚えている。

お会いしたばかりの時は、隠すのが上手ではあったけれど、緊張が見えていて、

彼女自身がこれまで背負ってきたものが、時間を共有する度に新しく分かって、

今では共に歩んでいるという確信があるくらいには、私は彼女を信頼している。

彼女も華があり、この役を任せて良かったと既に感じているし、本番が楽しみ。

偶に私に見せてくれる屈託の無い笑顔が大好き。演劇を楽しんで欲しいと思う。


伊藤 海人 (いとう かいと) 【(回想)茂男 役】

実はアクトオーディションは二度目の応募、今作がアクト初出演。

国外の大学で演劇を4年間学び、帰国後に再度応募してくれて、ご縁を感じる方。

一度自主稽古で向き合った時に、私の抱えているモノと通じる何かを確実に見て、

それ以降、素直な状態で稽古場に居る様子が見える様になり、見ていて飽きない。

今作かなり出番が多いにも拘わらず、台詞と動きの入りが早くて非常に頼もしい。

周囲への気遣いと優しさの合間に面白い個性が垣間見えて、皆から愛されている。

中心人物となる役を彼に託して良かったと思うし、このまま進んで行って欲しい。


桐木 すみ子 (きりき すみこ) 【(現代)幸江 役】

アクトメンバーのおすみこと、桐木さん。

出会った初日からチャーミングな人で、素敵な年の重ね方をしていると思う。

優しさと、人の身体に関する知識がある為、座組の皆を気遣ってくれている。

舞台の経験が実は浅く、今作に対して彼女なりに尽力している様子が伝わる。

役と向き合う姿勢が、メンバーに対する眼差しと同じくらい愛に満ちていて、

相方である安城の事も私以上に気遣い、作品を仕上げるという情熱を感じる。

若造の私を、頼るべき所で頼って下さるので、関わると温かい気持ちになる。


 安城 龍樹(あんじょう りゅうじゅ) 【(現代)茂男 役】

最後に一肌脱ぐことになったアクトの作・演出家。

この作品、毎年キャスト不足に悩まされると言っていたけれど、今回はとうとう

演出家自ら、ある意味一番大変な役に挑むことになり、本人も私も緊張している。
常々「演出に専念したい」とぼやいていたので、少し可哀相だなあと思いつつも、

本番まで残り一か月というところまでにぴったりな俳優が見つからなかったので、

作者であり演出家である彼なら、本番はしっかり仕上げるだろうと期待している。

因みに、助手として入っている私だが、未だに彼の思考回路は謎に包まれている。